相続税の申告期限を過ぎたらどうなる?ペナルティと今からすべきことを税理士が解説

2026.09.28
相続税申告書

相続税の申告期限は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
しかし、相続手続きを後回しにしているうちに、申告期限を過ぎてしまうこともあります。
相続税の申告期限を過ぎたからといって、申告ができなくなるわけではありません。
期限後でも申告はできますので、まずは申告義務があるかを確認し、必要であればできるだけ早く申告することが大切です。

この記事では、相続税の申告期限を過ぎた場合のペナルティや、期限を過ぎたことに気づいたら何をすべきかについて解説します。

相続税の申告期限は10か月

相続税の申告と納税は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行います。
例えば、1月6日に亡くなり、その日に死亡を知った場合には、その年の11月6日が申告期限です。
注意していただきたいのは、遺産分割が終わっていなくても、原則として申告期限は延長されないことです。
「遺産分割が終わってから相続税申告をすればいい」と考えていると、申告期限を過ぎてしまう可能性があります。

相続税の申告期限を過ぎても期限後申告ができる

10か月の申告期限を過ぎてしまっても、相続税申告ができなくなるわけではありません。期限後申告として相続税申告書を提出することができます。

まず確認したいのは、そもそも相続税の申告義務があるかどうかです。相続税は、相続財産があるからといって必ず申告が必要になるわけではありません。
原則として、正味の遺産額が、

3,000万円+600万円×法定相続人の数

で計算する基礎控除額を超える場合に申告が必要になります。
例えば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。
なお、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使うことで相続税がかからなくなる場合でも、これらの適用を受けるためには相続税の申告が必要です。

期限を過ぎていることに気づいたら、まず相続人、相続財産を確認し、相続税申告が必要なのかを判断します。

期限を過ぎると無申告加算税・延滞税がかかることがある

相続税の申告期限を過ぎた場合、本来納める相続税だけでなく、無申告加算税や延滞税が発生することがあります。

無申告加算税

無申告加算税は、期限までに申告しなかったことに対するペナルティです。
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、原則として納付すべき税額の5%です。
一方、税務調査の事前通知を受けた後や、税務調査による決定を予知した後では、無申告加算税の割合が高くなります。
つまり、同じ期限後申告でも、税務署から指摘を受ける前に自主的に申告するかどうかによって、ペナルティが変わる可能性があります。

延滞税

相続税を申告期限までに納付していなければ、原則として法定納期限の翌日から実際に納付するまでの期間に応じて延滞税が発生します。
延滞税の割合は年によって変わりますが、納付が遅れるほど負担も増えていきます。

期限を過ぎてしまったこと自体は変えられませんが、その後どれだけ早く対応するかによって負担が変わる可能性があります。

遺産分割が終わっていなくても申告期限は延びない

相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまっていない場合でも、相続税の申告期限は原則として延長されません。
申告期限までに遺産分割が終わらない場合には、いったん民法に規定する相続分などに従って財産を取得したものとして相続税を計算し、申告します。
この場合に注意が必要なのが、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例です。これらの特例は、原則として申告期限までに遺産分割が終わっていない財産について、その時点では適用することができません。
ただし、相続税申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出し、その後、原則として申告期限から3年以内に遺産分割が成立した場合には、一定の手続きを行うことで特例を適用できることがあります。
申告期限を過ぎていても、要件を満たせばこれらの特例を適用できる場合があります。遺産分割の時期や申告・添付書類の状況によって必要な手続きが異なるため、個別に確認することが大切です。

期限を過ぎたことに気づいたら、できるだけ早く対応を

相続税の申告期限を過ぎたことに気づいたら、まず次の事項を確認しましょう。

  • 被相続人が亡くなった日(→申告期限はいつか)
  • 相続人は誰か・何人か(→基礎控除額はいくらか)
  • 相続財産がどのくらいあるか
  • 相続税の申告義務があるか

まず申告義務の有無を確認し、申告が必要であれば、遺産分割の状況などを踏まえて申告方針を決めます。

期限後申告では、通常の相続税申告以上にスピードが重要です。
税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に適正な申告書を提出すれば、無申告加算税の負担を抑えられる可能性があります。また、納付が遅れるほど延滞税の負担も増えていきます。

一方で、急いで申告すればよいというわけでもありません。
期限後申告の場合でも配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などについて適用要件を満たしているか、特例を適用するために必要な期限後申告特有の書類がないかについても確認する必要があります。

「期限を過ぎてしまったので、今さら相談しづらい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、過ぎてしまったことを悩んでいても状況は変わりません。

対応策は一緒に考えますので、自分で抱え込まずに、早めにご相談いただくことが大切です。

まとめ

相続税の申告期限は、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
期限を過ぎてしまっても相続税申告はできますが、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。また、税務署から指摘を受ける前に自主的に申告するかどうかによって、無申告加算税の負担が変わる場合があります。

期限を過ぎたことに気づいたら、まず相続税の申告義務があるかを確認し、必要であればできるだけ早く申告の準備を始めることが重要です。

当事務所では、期限を過ぎてしまった相続税申告についてもご相談をお受けしています。
状況を確認したうえで対応方法を一緒に検討しますので、お困りの場合には早めにご相談ください。

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白樫良浩税理士事務所 代表税理士・行政書士。 相続税申告を中心に、相続・事業承継等の税務に対応しています。 事務所は東京都大田区大森のJR京浜東北線「大森」駅から徒歩1分。